Happy Holi ホーリー
パラマハンサ・ヴィシュワナンダ
2023年3月8日、インドでは 色の祭典とも愛の祭典ともいわれるホーリーを迎えます。人々は、カラフルな色の粉や水をかけ合いながら遊び、笑って、春の訪れを喜び合います。そして赦し、忘れて 、壊れた人間関係を修復します。インドのヴリンダーヴァンでは、幼い色黒のクリシュナが、色白のラーダーのお顔を自分の好きな色に塗って遊んだリーラ(神の遊戯)を記念して、お二人の永遠なる至高の愛をホーリーで祝います。また、ホーリーは善が悪に打ち勝った“勝利”を象徴します。
ホーリーの前夜には、『ホーリカー・ダーハ』と呼ばれる焚火の儀式が執り行われます。邪悪なホーリカーの人形を火で燃やし、その炎を人々が囲んで歌い、踊り、祈り、ヴィシュヌ神とその献身者プラフラーダを讃えます。
<ホーリカー・ダーハにまつわる神話をご紹介します>
■太古、ヴィシュヌ神の化身ヴァラーハは、アスラ(悪魔)のヒラニヤークシャを討ち取りました。ヒラニヤークシャの兄弟であるヒラニヤカシプはヴィシュヌ神への復讐を誓うと、マンダラ山にこもり、激しい苦行をブランマ神に捧げました。
その苦行がブランマ神に認められ、ヒラニヤカシプは、苦行によりほとんど蟻に喰われてしまった身体を、カーマデーヌ(あらゆる願望を満たす聖なる牝牛の女神)の水で元に戻してもらったうえに、願いを叶えていただきました。それは、『神にもアスラにも、人にも獣にも、昼にも夜にも、家の中でも外でも、地上でも空中でも、そしてどんな武器にも殺されない』というもので、この恐ろしいアスラの身体は無敵同然となりました。
ヒラニヤカシプは三界を征服し、神々の王インドラの宮殿を乗っ取り、さらに人々に神々の名を唱えることを禁じ、代わりに悪魔の王である自分の名前を唱えることを強制しました。ところが、ヒラニヤカシプの息子プラフラーダは、あろうことか一族の宿敵であるヴィシュヌ神を熱心に信仰したのでした。
ヒラニヤカシプはプラフラーダを憎み、様々な罠を仕掛けて息子を殺そうとしました。ある時は、毒を飲ませました。しかし、ヴィシュヌ神の恩寵により、毒は口の中で甘露に変わってしまいました。ある時は、巨大な象に踏みつけさせましたが、無傷でした。またある時は、お腹をすかせたコブラと一緒に、牢獄の中に閉じこめましたが、何事も起こりませんでした。最後の手段として、ヒラニヤカシプはプラフラーダに、邪悪な叔母であるホーリカーと一緒に薪の上に座るように命じました。まだ小さかったプラフラーダがホーリカーの膝に座ると、ヒラニヤカシプは薪に火をつけました。それでも熱心にヴィシュヌ神に祈りを捧げ続けたプラフラーダは、ヴィシュヌ神の恩寵により、ホーリカーの身から離れて舞い降りてきたショールによって、燃え盛る炎から身を護ることができました。しかし、ホーリカーは燃えてしまいました。
■この後、ヴィシュヌ神は半人半獅子のお姿のナラシンハとして化身され、悪魔の王ヒラニヤカシプを抹殺して、偉大な献身者プラフラーダを救済します。