“信仰と献身を持って来なさい。それがあなたの靴です。”
-シュリ・スワミ・ヴィシュワナンダ
-パリクラマ
第3日目のイベントは朝早くからスタートしました。
素早く朝食を済ませた後、ヴリンダーヴァンから45分ほどの場所にある
ゴーヴァルダナの丘(別名ゴーヴァルダナ山)へと向かいました。
パリクラマをするためです。
パリクラマとはサンスクリット語で“周りを取り囲む道”という意味です。
特定の何かの周りをぐるりと周って歩くことですが
ほとんどの場合、寺院の神、神聖な川や丘の周りを歩く際に使われます。
お祈りの一環としてパリクラマを行うことは、ヒンドゥー教の礼拝に欠かせないことです。
全長21キロメートルに及ぶゴーヴァルダナの丘のふもとで行うパリクラマは
その霊的な浄化作用を信じる多くの人々が行ってきた神聖な儀式です。
素足で歩くのが正式なやり方です。
冒頭の御言葉は、パリクラマで靴を履くかどうかの質問に対するスワミの回答です。
-ゴーヴァルダナの丘のお話
シュリマッド・バガヴァタムによると、クリシュナが7歳の時
人々がインドラへのヤグナの準備をしていました。
これを見たクリシュナは村人たちにヤグナを取り止め
かわりにシュリ・ギリラージ(ゴーヴァルダナの丘)にプージャを行うよう促しました。
ギリラージは単なる守護神ではなく、実際に牧草や飲み水を皆に与え
一休みできるように洞窟まで提供してくれていることを説明しました。
これを知ったインドラはたいへん怒り
自分を無視して幼い子供のクリシュナの言うことに従った人々に
天罰を与えることにしました。
するとヴリンダーヴァンには突然激しい雨が降り始め、それは嵐となり
人々は恐怖で震えあがり、クリシュナに助けを乞いにきました。
クリシュナはゴーヴァルダナの丘へと向かい
小指で丘を持ちあげるとそれを傘のようにして人々を守りました。
7日間も雨は降り続け、クリシュナはその間ずっとゴーヴァルダナの丘を持ちあげて人々を守りました。
これを見たインドラはクリシュナは普通の子供ではなく、主の化身であることに気付きました。
インドラは敗北を認め、クリシュナのもとへご加護を乞いに行きました。
この時からクリシュナは、ギリダーリ(ゴーヴァルダナの丘を支えたお方)と呼ばれるようになり、
この地方ではインドラのかわりにゴーヴァルナダの丘への信仰を始めるようになりました。
さて、私たちのパリクラマですが、
スワミジと一緒にゴーヴァルダナの丘の前でプージャを行ってからいざ歩き始めました。
とても静かで穏やかな雰囲気の中
スワミ含む全員がマラ(数珠のようなもの)を入れたバッグを持って
歩いている間ずっとジャパを行っていました。
(※マラを専用のバッグに入れてジャパを行うことには数々のメリットがあります。)
スワミの恩寵によりみな無事にパリクラマを行うことができました。
そして私たちはここで正式にパリクラマを終えるよりも
ラーダー・クンドへ向かい、そこで本日の旅路を終えることとしました。
-ラーダー・クンド
牛の姿をまとって悪魔をクリシュナが切り殺した際、
ラーダーは、ヒンドゥー教で本来とても神聖とされる動物を殺したカルマを
クリシュナが背負うのではないかと心配しました。
ラーダーはクリシュナにいくつかの神聖な川で沐浴を行って罪を清めるよう言いました。
クリシュナはラーダーの純粋さをほほえましく感じ
地面を足で踏みつけてみせると、なんと、
そこから川が湧き出てきて、それがクンドを形成しました。
(クンド:インドの寺院の近くによく見られる貯水池)
クリシュナはラーダーを満足させるためにそこで沐浴を行いました。
クリシュナが神聖な力をそんな風に使ったさまを見て
ラーダーは子供のように機嫌を損ね
女性のお供たちと一緒に素手と腕輪を使ってクンダを掘ることにしました。
掘り終えると周辺の神聖な川の水でクンドを満たしました。
そのクンドは今日では“ラーダー・クンド”と呼ばれ、各地から人々が沐浴しにやってきます。
ラーダー・クンドが完成すると
クリシュナは毎日そこで沐浴することをラーダーに約束しました。
ラーダー・クンドはラーダーと等しくクリシュナにとって大切な存在であり
ここで沐浴する者はラーダーの愛を受けることをクリシュナは宣言しました。
ラーダー・クンドはシュリマティ・ラーダーラーニ(ラーダー)の愛の権化です。
ゴーヴァルダナの丘を長い時間をかけて一周し、
ラーダー・クンドを讃え、キルタンを歌い、ギリダーリにプージャを行い一日が終わりました。